間宮兄弟/江國香織
用務員の仕事気になる ★★☆☆☆
徹夜でパズルしたくなる ★★★★☆
読み終えるのが惜しい ★★★★★
<あらすじ>
<感想>
初め読んだときは江國香織さんの小説とは思えなくて驚き。
それは主人公がモテない30過ぎの兄弟、間宮兄弟だから。
江國さんの小説って「エステ小説」と言われるくらい、登場人物がおしゃれな生活だったり、おしゃれな恋愛のイメージでした。でも、一見ダサい、オシャレとは程遠い間宮兄弟の生活も江國さんの文章にかかるととても魅力的に描かれているから不思議です。
女性にモテることはもう半ばあきらめた兄弟、共通の趣味はテレビでの野球観戦やパズルやビデオ鑑賞と超インドアな生活。とはいえ、決して引きこもりとか気持ち悪い系のオタクではなく、きちんと社会で働いてて家事もちゃんとしてる、親孝行もしている、立派な大人だというところがポイント。
立派な大人が兄弟で異常に仲が良く、子供みたいにパズルや紙飛行機に夢中になる姿はもはやファンタジーかもしれません。兄弟ならではの阿吽の呼吸も読んでいてうらやましくなります。このままずっと間宮兄弟の生活を覗いていたい、次はどんな楽しいことを始めるのかとワクワクします。
自分が好きなことで満たされた生活。すごく充実して見えます。
そのままの暮らしでいいんじゃないかと思いますが、やはりそこは男性。気になる女性ができたことから、兄弟の穏やかな暮らしが微妙に変化していくのが、嬉しくもあり、残念でもあります。
独身だったらこういう生活をしたいなぁという私の願望にも近く、兄弟で遊ぶシーンは何度も読み返してしまいました。翌日を気にせず金曜の夜に深夜までパズルとか、読書の日を設けて常に本を持ち歩き常に読む、とかいずれやってみよう。
↓ ここからネタバレあり感想 ↓
気になっていた女性を招いてのカレーパーティーや花火の会。このメンバーの中で、まさかカップルが成立してしまうのか!?という展開ですが、結果誰も誰ともくっつかずに終わります。間宮兄弟は純粋に好き、仲良くなりたいという気持ちですが、参加者の女性の方はそうでもないし、それぞれ微妙な心境で参加しているので最後までどうなるのか引き付けられます。
傍からは見えない微妙な内面の変化と、嫌がおうにも訪れる環境の変化。
いまのままの関係を壊してしまう怖さもありますが、そこを突破して開ける未来も見てみたい。最初と最後ではそんなに彼らの生活に変化はないように思えますが、この10年後位なら、何か素敵な方向に動いていそうな気がします。
映画化もされています。
キャストはなかなかしっくりきて良いのですが、演出で過剰にコミカルにしていたり、妙にセクシーなシーンがあったりと、個人的には小説と映画は別物として考えた方が良いなぁという結果。映画を観たら小説の世界観が崩れてしまったので、再読したほどです(笑) 安易に映画版を見るべきではないですね。
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