コーヒーが冷めないうちに/川口俊和
予想外の展開 ★☆☆☆☆
ゆったり読める ★★★★☆
コーヒー飲みたくなる ★★★★★
<あらすじ>
1.過去に戻っても、この喫茶店を訪れた事のない者には会う事はできない
2.過去に戻って、どんな努力をしても、現実は変わらない
3.過去に戻れる席には先客がいる その席に座れるのは、その先客が席を立った時だけ
4.過去に戻っても、席を立って移動する事はできない
5.過去に戻れるのは、コーヒーをカップに注いでから、 そのコーヒーが冷めてしまうまでの間だけ
めんどくさいルールはこれだけではない それにもかかわらず、今日も都市伝説の噂を聞いた客がこの喫茶店を訪れる公式ページより
<感想>
この不思議な喫茶店で起きる4つのショートストーリー。
登場人物の少しコミカルなやりとりで、あまり深刻になりすぎずゆったりと読み進められます。もとは舞台のお話のようで、舞台ではどんな演出なんだろうかと読み進めると個人的に楽しかったです。
↓ ここからネタバレあり感想 ↓
過去に戻れるけれど、誓約がたくさんあって、しかも過去を変えられないなんて!過去を変えたいから過去にもどるんでしょ!?
って、疑問ばかり持ちながら読み始めましたが、意外としっくりと、その一見無駄だと思えるタイムスリップがきちんと落ち着く不思議さ。結局過去は変えられなくても未来は変えられる、気持ちは変えられるということなんですが、それが無理なく進行するのがとても素晴らしいと思いました。
ストーリーはすごくまとまって、ストンと納得がいくラストばかり。途中で結論が分かってしまうものもありますが、そこは独特の雰囲気で。途中であきることなく最後まで読ませられます。
恋人・夫婦・姉妹・親子と、4つのエピソードがあるので登場人物のどれかには感情移入しやすいし、自分より年上の方や環境が違う人のエピソードでも不思議とすんなりと気持ちに寄り添えて、読了後は暖かな気持ちになれました。
少し残念なのは、
喫茶店の人たちの名前が3人とも漢字一文字で、しかもみんな男女どちらともとれる名前だから、途中まで読んで混乱しました。 主役の子はなんとなく男の子の気持ちで読み進めてたら実際は女の子で・・・。イメージを作り直して読み直し(笑)これは私の問題か。
あと、幽霊の正体とか、この不思議な現象がおきるきっかけみたいなものが全然明かされなかったこと。最終話で「実は幽霊はあの人に関係ある人で・・・」みたいなのを期待していただけに、がっくり。そこはまぁファンタジーということで。
映画版も見てみようかと思います。
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